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まっちゃんの仕事部屋
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事業家とデザイナーのあるべき関係について考えさせられた
青山ブックセンターで開催された『朱の記憶 亀倉雄策伝』刊行記念トークイベントに行ってきました。

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デザイン業界の人でないと亀倉雄策が何者なのかきいたことがない人も多いと思いますが、1964年の東京オリンピックのロゴやポスターなど一連のデザインをした人です。
『朱の記憶 亀倉雄策伝』は、この亀倉雄策の仕事を4期に分け、その時代背景と時代がデザイナーに及ぼした影響を紹介しています。

トークイベント前半は、著者であるとともに様々な広告のクリエイティブディレクターの経験もある馬場マコトさんが、本の中では敢えてあまり載せなかった亀倉雄策の4期それぞれの作品とその特徴をスクリーンで紹介。後半は、グラフィックデザイナーで女子美術大学客員教授、またこの本の装丁も手掛けた奥村靫正さんも交えて、2020東京オリンピックエンブレム問題の話も絡め、デザイナーとはどうあるべきか語り合うものでした。

その中で、馬場マコトさんは、「最近の日本は、国家も企業もデザインが痩せてきている」「幼稚化している」とおっしゃっていました。一本通った筋がない、太いコンセプトがないということです。

亀倉雄策は「もっと事業家はデザインに近寄り、デザイナーは事業に近寄るべきだ」と言ったそうです。

ところが、馬場マコトさんによれば、今や大御所と呼ばれるようなデザイナーでも、若い頃は打ち合わせに行くと社長と話をしたのに、だんだん出てくる人の役職が下がって、最近では全く決定権のない一担当者しか出てこない。つまり、企業のトップが広告やデザイン、ひいてはブランディングに興味を示さなくなっているというのです。

一方、自分の現在の仕事を考えてみると、中小規模の企業・団体との仕事が多く、当然のことながら、社長またはそれに近い決定権を持った人と直接意見を交わす機会も多いです。
デザインの仕事は、実際に手を動かして作る段階も確かに楽しいのですが、この意見を交換しながら双方で良いものを作っていこうともがいているその段階が最もワクワクしますし、それで結果が出たときの達成感は当事者でないと得られないものです。
その点、「事業家はデザインに近寄り、デザイナーは事業に近寄るべきだ」を比較的実現できているかなと思います。

馬場マコトさんが思い描く「幼稚化」してないデザインとはやや違うかもしれませんが、今後の日本においては、意思を持った中小企業や地方の地元に根ざした企業こそ、経営にデザインを上手く取り入れて元気になっていくのではないかと感じたイベントでした。

by naocco-mdb | 2016-03-25 00:11 | ●仕事だ!デザインだ!
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